粉塵、オイルミスト、熱環境からパソコンを護る防塵ラックまもる君シリーズ

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-初級編.2- 防塵ラックの基本的な構造と機能

防塵ラックの使命は、収納されている機器を護ることを通して、そこに蓄積された重要なデータの保護や、生産や入出荷などの工程を止めないということに尽きます。そのために必要な構造は「密閉筐体」です。密閉構造のラックであれば、塵埃の侵入を一切許しません。しかしながら、収納されるパソコンやIT機器は電気製品のため、熱を発する発熱体でもあります。熱による暴走や停止を防ぐため、機能として「放熱対策」が必要となります。「密閉」と「放熱」、この相反する点をバランスよく解決したものが防塵ラックと呼ばれるのです。

 

防塵ラックをご存じなくても、サーバーラックや19インチラックは知っているという方は多いのではないでしょうか。これらの製品はコンピュータルームやオフィスに置かれることが多いので、粉塵対策は意識していません。むしろ、放熱対策に重きが置かれているため、通気性を競い合った仕様(パンチングメタル等による通気孔の総面積率を重視)になっていますし、構造的に見ても、前後左右、天井にいたるまで扉やパネルで囲われて(これを防塵と考える人もいるようです)はいますが、ラックの本体フレームと前後扉や各パネルの間にはゴム製のパッキン等は入っていません。これらのラックは通気性の観点からもパッキンなど無い方が良いのです。同じラックの仲間ではありますが、まったく反対の方向を向いた製品だと言えます。 

ラックの密閉性を確保する方法としては、前後上下左右6枚のパネルすべての接合部を溶接してしまえば完璧なのですが、機器の設置やメンテナンスを考えると必要最低限の出し入れ口(扉)が必要になります。当社の防塵ラックでは、上下左右4枚の接合部を折り曲げ及び溶接する事で、トンネル状のラック本体を形成し、前後に扉を配置する独自の構造を採用しています。また、本体と前後扉の間には、中空ゴムパッキンを全周に配し、塵埃の通り道を封止・遮断しています。防塵ラックの前提条件となる密閉筐体はこうして出来上がっています。

 

さて、密閉されたラック内に溜まる熱をどのように放熱するのか、いくつかの方法が考えられます。ここでは、放熱の方法について簡単に解説したいと思います。更に詳しく知りたい方は中級編、上級編をお読みください。当社の防塵ラックでは基本的に次の3タイプの放熱方法(放熱機器)をご用意しています。

1.ファンタイプ(簡易防塵仕様)
2.熱交換器タイプ(完全防塵仕様)
3.クーラータイプ(完全防塵仕様)

ファンタイプは、ラック内の熱を強制的にラック外へ吐き出すための換気扇の役割を果たす軸流ファンが装備されています。コストが安く済むため、売れ行きが一番良いのですが、外気を取り込むための吸気口を設ける必要があります。除塵フィルターによる粉塵の捕捉はするものの5ミクロン以下の微細な塵埃は通過してしまう為、簡易的な防塵仕様となり、比較的粉塵環境の良い現場での利用が大原則となります。
また、外気温度(+α:注1)よりもラック内の温度を下げることは出来ませんので、設置される場所の温度がとても重要になります。当社では外気温度30℃以下でのご利用を推奨しています。
注1:+αは、直射日光や他熱源からの侵入熱のこと。

 

熱交換器タイプは、ファンタイプの欠点であるラック内外の空気を入れ替える機構がありません。内外の空気を入れ替えず熱だけを排熱する仕組みです。その為、完全防塵仕様として密閉状態のラックとなっています。5ミクロン以下の微細な粉塵や大量の粉塵環境下でもお使いいただける製品です。但し、ファンタイプと比較してコストアップとなる点と、ラックの内外の温度差が重要な要素となるため、外気温が低い場所での利用が原則となります。当社では28℃以下でのご利用を推奨しています。
また、ファンタイプ同様、外気温度よりもラック内の温度を下げることは出来ません。

クーラータイプは、ラック内外の空気を入れ替えない完全防塵仕様であり、尚且つ、ラック内を冷却できる機能を持ったハイエンドの防塵ラックです。5ミクロン以下の微細な塵埃や大量の粉塵環境下でもラック内に粉塵を侵入させることはありません。
また、収納機器の発熱量が大きい場合や外気温度が高い(30℃以上~40℃以下)場所での設置にも対応でき、収納機器に対して最適な環境をご提供する事ができます。
コスト面では大幅アップとなりますが、発熱量が多く、粉塵量が多く、外気温が高い事案でも、安心してお使いいただけます。

防塵ラックの基本的な構造と機能の説明は以上です。簡単でしたか、難しかったでしょうか。私達が初回のご訪問時にお客様でお話しする内容は、このような感じです。
是非、ご参考としてください。